カラスノエンドウ

蘇 庵

2011年06月06日 18:37

 昼休み構内をぷらぷらしていると

「おーい、あまのじゃく!」 と社長の呼ぶ声がする。

 (おっ、特別手当でもくれるのか) と思い、急ぎ行くと。

「どうだ、薪割は捗っているかね」と他人事のようにつぶやく。
 
 (なんだ御小言か) 少々落胆するが、
         見習の分際であるので当たり前か。

「今日は木が細い為、時間が掛かります。」と苦言を申すと。

 聞いているのかいないのか、おもむろに足元の
カラスノエンドウをむしり取り口にくわえた。

      

どうだ吹けるかと言わんばかりに、「ビービー」と吹き鳴らす。

(今日は、つぶやきの代わりに鳴りもので来たか…。)

悔しいが、吹けなかった。

カラスノエンドウのそうじの仕方と吹き方を教わったが、
スースーと空気が漏れるばかりだ。

そんな私を残して、社長はビービーとドレミファの音階を
奏でながら事務所に戻って行った。

 (いったい何の用だったのだろ?)  と思いながら
 幾つものカラスノエンドウをむしる私であった。

 この日の午後、社長はチェーンソーでの細木のまとめ切り
を伝授してくれた。

  おかげで玉切りがぐんと速くなったのは言うまでもない。 ^^

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